2023年8月25日
市民公開講座「住み馴れた街で最期まで自分らしく」まとめとYouTube限定公開(動画閲覧は終了しました)
イベントサマリー
丸亀市市民公開講座
講演会 『住み馴れた町で最期まで自分らしく』
講師:秋山 正子 先生
看護師・保健師
NPO法人maggie’s tokyo 共同代表・センター長
暮らしの保健室 室長
NPO法人白十字在宅ボランティアの会理事長
主催:丸亀市在宅医療介護連携支援センター
丸亀市地域包括センター
会場:丸亀市保健福祉センター
開催日・時間:令和5年9月16日 14:00~15:30
対象者:地域住民の方、興味のある方
参加人数80名
参加者属性:
年齢層 10代1名、20代3名、30代1名、40代5名、
50代7名、60代11名、70代32名、80代13名、未記入1名
アンケート回収74名 アンケート回答率 92.5%
【講演のまとめ】
<住み馴れた町で最期まで自分らしく>
秋山先生は秋田市で育ち、16歳の時に父親を胃がんで自宅で看取った。そして39歳の時に実姉が肝臓がんの末期となり色々な人の助けを得て、姉が一家の妻・母として尊厳を保ちながら自宅で過ごし、看取ることができた。その経験から〈今後は人生の最期の時を迎えるまで自分らしく生きたいと願う人は増えるのではないか〉と言う考えに至り、1992年から在宅ホスピスを中心とした訪問看護活動に従事した。2006年に地域包括支援センターが発足し、住み馴れた場所での暮らしを続けるためには、地域を育てると言う視点で、住民自身が病気になったら病院にお任せして治すと言う立場を取るのでなく、自分で治すと言う意識を持つことが大事と考えた。そして地元によろず相談のできる『暮らしの保健室』を開設した。そこでは、地域の人々に向けて健康づくりに向けての情報提供の場をつくり保健指導から在宅療養相談など多岐に渡る支援を行った。また家族からショートステイなどの場所が欲しいと聞き、看護小規模多機能型施設を設置した。そして2016年にがん患者と家族の相談支援の場として『maggie’s東京』を開設した。
2040年には高齢者人口が子どもや生産人口を上回り、つぼ型の人口動態になると言われている。人生100年時代の健康寿命の延伸と共に忘れてはならないものとして、地域住民の①健康寿命のその先を見据えた早目のつながり②むだに救急車を呼ばない住民意識の変革③人生の最終段階を温かく自然なものにするための地域サービスであると提案された。厚労省の示す地域包括ケアシステム図には、地域に住みながら必要時のみ通院・入院、介護が必要になれば介護サービスを利用する形が示されている。高齢者の救急搬送の原因として脱水が多く、日頃からの脱水予防の啓発によりむやみに救急車を呼ばなくても済むことに繋がりその経費を必要な支援に配分する事も可能となる。そして高齢者は、最期まで口から食べる事をあきらめないで早くから相談窓口の利用を図ることが在宅療養を続けられる秘訣であると述べられた。秋山先生の20年以上の看護実践のなかで見えてきた地域のニーズが、医療を基盤とした敷居の低いよろず相談所があること。ゆったりとした環境でよく話を聴いてもらい、専門職がそばにいるという事が必要であるとのことであった。地域の中で自分たちは何がしたいかを支え、暮らしの中で生きる事が可能になるように、制度や資源を組み立てて地域包括制度の実現を支えていきたいとまとめられた。講演最後でのmaggie’sのビデオ画像ではゆったりと語らう利用者の笑顔が映しだされていた。参加者は、先生の優しい語り口と、地域住民が自分の意思を持って健康づくりに取り組むことが大事という説明に、うなづきながら熱心に聞き入っていた。
質疑応答では、
「先生が日頃大切にしている事とかがありましたらお教えください。」という質問に対し、
先生は「対象の方のこれまでの人生をどう生きてきたのか。苦労している時とか、輝いている時の話を大切にし、これからどう輝いて生きて行きたいのかを、その人の人生を大事にしてぶれないようにしたいと思っています。」
看護職の人からは、「患者様に対して、なかなかACP(アドバンスケアプランニング)の考え方が広めにくい。」という声が挙がった。先生は「在宅はその人のお宅に行くので、その人の人生のアルバムとか話すきっかけがあります。病院は管理された中なので、話しにくいのではないかなと思います。最近そのような話を誰にするのか聞いた方によると、その人は『よもやま話に応じてくれる看護師を探す。あの人なら聞いてくれそうだなという人を探すんだ。』と言って下さいました。長々と時間を取らないけど、『さあ今からACPを話そう。』などと何か聞くと言うのでなく、気楽にちょっと話をするオーラを持って話してみてください。」との回答を頂いた。
(感想)
40代:丸亀市にも「暮らしの保健室」のような病気の人も健康な人も子どもも一緒に過ごせる場があればと思いました。
70代:「暮らしの保健室」的なものが丸亀市にあればいいですね、地域力をアップするって大事ですね。
70代:地域サービスは一緒にしていくのだと分かった。
70代:老々介護で支援者が少ない場合の対応は困難では?しかしより良い最期を迎えられるためにできる事があれば丸亀でも是非やっていきたい。
70代:施設に入るのが当たり前だと思っていたが、そうじゃないのだと強く思った。
70代:地域包括システムが多くの人に理解されるのが大切かなと思います。香川県は遅れているなと思いました。
80代:このような話を聴きたい。
(アンケート結果)
You tube での講演動画閲覧 (令和5年9月28日~10月18日)閲覧機関は終了となりました。